#ぱるのお題箱 文庫本サイズの原稿の設定などについて

先日、お題箱から以下4点についてお尋ねいただいたので、お答えしたいと思います!

●文庫本サイズの原稿の設定

●表紙の作り方

●おすすめのフリー画像サイト

●加工ソフト

 

このうち、以下3点についてはさっとお答えできますので先に書いてしまいますね。

●表紙の作り方

いきなりリンクで申し訳ありませんが、以前書いたこちらの記事を参考にしていただければ! いつもだいたいこんな流れで作っています。

 

wtrdr.hatenablog.com

 ●おすすめのフリー画像サイト

上の表紙作成記事にも書いているんですが、Unsplashさんが大変おすすめです。

unsplash.com

また、こまこまとした枠素材やライン素材のある素材集を一冊持っておくととても便利です。わたしが使ってるのはこちら!

www.amazon.co.jp

●加工ソフト

Photoshop Elements 6.0です。パッケージ版でずっと使っています。廉価版じゃないPhotoshopを使ったらもっと便利なんだろうなあと思いつつ、なんだかんだ間に合っているのでありがたい。

 

というわけで、いざ

●文庫本サイズの原稿の設定

についてざっくり書いていきますね!

まずはワードで用紙サイズを111mm×154mmに設定します。

これはA6(105mm×148mm)に、天地内外タチキリ分3mmずつを足したサイズです。

続いて天と内外の余白を13mmに設定します。綴じ側(ノド)にプラスで5mm。地は16mm。これは市販の文庫などからお気に入りの余白を測って設定してみるといいです。

タチキリ分の3mmをそれぞれ加えるのを忘れずに!

本文フォントはIWAp明朝オールドPlusで9ポイントのフォントサイズにしています。

※上記フォントに課金するまではIPAex明朝を使っておりました

1ページは17行×35文字で組んでいます。これもお気に入りの文庫を参考にするといいかもです。(下記のスクショは6月の本のデータをひらいたものです。直し過ぎてファイル名がえらいこっちゃになってる)

f:id:wtrdr:20171012225258j:plain

ざっとこんなところでしょうか。好きな形が決まるまで、好きな版組の文庫本とにらめっこして作ると楽しいです。Wordユーザーからインデザユーザーにランクアップしたい! と夢見ながら今日もWord先生と格闘する日々です。

文庫サイズ同人誌はサイズ感もかわいいですし、本! という感じがしてすごくわくわくしますので、ぜひ楽しく作られてください!

ありがとうございました!

新たな彼方へ踏み出せなかった「ここ」から(正解するカド最終回について)

正解するカドのオープニング「旅詩」がとても好きです。メロディックでいて懐かしいSFの匂いがする、すてきなメインテーマであると思います。

最終回では終盤にこの曲がかかって、「新たな彼方にここから行けるのだろうか」で(行けなかったね…………)って落ち込んで泣いてしまった。悲しいことです。

11話まで見てキレ散らかした記事で、

wtrdr.hatenablog.com

SF的世界観において、人類存亡レベルの話をしているときに前触れなく主要キャラクターの恋愛展開が挟まるとキレてしまうんですが私の心が狭いのかな?

という言葉を書きましたが、あの急速な恋愛展開には一応意味があったんだな…… とわかりたくない事実をわからされた最終回でした。人類と異方のハーフこと、真道と沙羅花の娘たるユキカ(幸花?)が切り札だったんですね。

子どもを作ってそれを使ってザシュニナを驚かせよう、切り札にしよう、花森には16年がんばってもらおうってアイディア、この流れからいくと真道から出た案なのかなと思うけど、双方を満足させる交渉官として優秀なはずである真道から出たにしても、地球と人類の自然な営みが素晴らしい! 派な沙羅花から出たにしても、随分おぞましい着地点に行ったなと思いました。人格変わってない? 大丈夫……?

前半のザシュニナのターンでは異方へ真道を誘うも断られ、強硬手段も自らの願いへの理解が及ぶに至って選べなくなり、「かけがえのない個人」とか「1を1以上として見ることが人類の特異性」とか、なかなかいい線いってるしSFにおける良いエモさじゃないですか…… と視聴者として勝手にとても悦に入っていたんですが、

真道のそれを断る根拠が「生まれ育った世界を愛しているから」ってちょっとあまりにもお前それはなくない? という安易さでがっかりしました。言い訳にしてももっとさ…… 賢そうな言葉が聞きたかったな……

あと断られて強硬手段もやめたのに真道を終わらせたがったザシュニナは、考え始めるとよくわからなくなる行動原理なんですけど、あれはザシュニナが感情を獲得したがゆえの、感じるタイプの行動原理という理解でいいんでしょうか。これ以上齟齬が膨らむ前に完結させたいみたいな……?(もうだいぶ決定的な齟齬だったけど……)

真道に「友だち」って言われたときのザシュニナの微妙な表情が心に残りましたね。あとよっしゃ殴るぞって顔の真道と、気が進まないながらも剣を振りかぶるザシュニナ…… 真道への感情ゆえか、それとも、予測できてたからあれはつまらなかったのかなやっぱり…… いずれにせよかわいそうだな……

一方でそのときの沙羅花は、真道が本当に大事なら見てるだけじゃなくて加勢するべきだし、加勢できるのにしなくてあとで取り返しがつかなくなってから叫ぶヒロインが嫌いなので、あの叫びにはだいぶ冷めました。(それとも沙羅花、やはり人類≒真道に対してニュートラルだったのでは……?)

前回の記事にも書いた、

沙羅花とザシュニナの双方共に、人類以前に真道に執着してしまうと、一気に世界が狭くなってしまう気がするんですよね。

というのがこれでもかと最終回にも影響を及ぼしていましたね。主要人物があまりに狭い世界でやっているので、ときどき入る首相官邸シーンで(アッ、この人たち真面目だな……)って思ってしまった。臨機応変に動く役人の出てくる作品がもっと見たーい!

ユキカに関しては、その出生の理由や意味やきっかけにはだいぶ真道か沙羅花のキツい策略があったなというのと、16年間を捧げた花森への周囲からの当たりがだいぶキツいのと、ザシュニナにそこまで暴力振るわなくてもよくない?!? ボロ雑巾みたいに扱ったらかわいそうでしょ! というのを置いておけば、

ザシュニナを終焉させる装置として申し分ない働きをしたし、「進歩とは自分を終わりであるとせず、途中であるとすること」という新奇性があり魅力的な「正解」をザシュニナに告げる役割として素晴らしかったなと思います。

さらにいえば、ザシュニナは4次元より確実に上位なので真道の霊的なものと交信できそうなのにできず、一方で情報を超えるものであるユキカは多分できている、というのが残酷でいい。ユキカはザシュニナのことをそこまで悪いやつじゃないって評したけど、ユキカが圧倒的な人類にとっての善としてあの場に降臨したことで、ザシュニナの人類にとっての悪としての属性が強調されたのでなかなかな皮肉だったと思います。

ザシュニナの敗因は、真道に感化されすぎたことと、あまりに人類に対して免疫がなかったことでしょうか。もっと異方存在としてブレなければ真道をちゃっちゃと異方変換してズブズブな関係に持っていけたよね…… 真道そのへん芯があるから、内面が侵されるとかそんなに心配しなくてもよかったんじゃないかと思う。ザシュニナのほうがそのへん弱かった。

真道は双方を満足させる交渉官を自称していたはずなのに、暴力・自爆・後世に強制的に託す。って無理な手法をドンチャンやってしまうので、見ていてそれはないやろ感が強かったです。ユキカはあのあとすぐ消え去ってしまったけど、そりゃ消え去るよね。16年間そのためだけに育てられてきた道具としてあっさりと使い終わられたから、もう尽くしたくないんじゃないか。それにしても花森はかわいそうだと思う。花森の誕生日にだけ帰ってくるユキカください。

そしてユキカによって異方からもたらされた道具が無効化されたの、プリキュアが戦ったあと街が自動的に回復するやつみたいで笑ったんですが、ワムの恩恵を受けていた人々とかいるわけで、それなりに残酷なことなんじゃないかと思います。無効化されずに遺産をどう活用していくか牽引する人として品輪博士がいたらいいのにな〜って思ってたけど品輪博士は行方不明だし…… たぶん異方に……

そうやって不完全燃焼に苦しんでいるところへ「新たな彼方へここから行けるのだろうか」って旅詩が始まったので、行けなかったね…… って泣いてしまったんですよね。

沙羅花はこの収束を望んでたのかな?

ザシュニナに会いに行こうって人類は動き始めたみたいなラストだったけど、あれは最初で最後、一回きりのコンタクトだったんじゃない?

そもそもザシュニナはユキカに消滅させられたんじゃないの? 地球世界から追放されただけ?

疑問点が多くてだいぶもやっとしていますが、美しく見事な正解をくれるはずだった真道はもういないので、正解するカドはこれでおしまいなんだと思います。

SFアニメとしてほんとうに色々魅力的な部分もありつつ、途中で方向転換に置いてかれてしまって、個人的にはとても悲しい結末でした。

異方存在を力で排除しながら(あの場にいた人間以外は分からないのかもしれないけど)今度は我々が会いに行こうっていうのは、うまくまとめようとして的が外れている気がする。

あと、ノーマークだったチート美少女が出てくるのは物語内において一回で十分だったというのもあります。

部分部分では好きなところもあるアニメなんだけど…… と、複雑な気持ちで見終わりました。

いやでももっとSFアニメ見たいな…… 原案だけじゃなくて、演出・脚本も筋の通ってるのが……

(今もっともアニメ化してほしいSF、華竜の宮をよろしくお願い申し上げます)

 

華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)

華竜の宮(上) (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 

華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)

華竜の宮(下) (ハヤカワ文庫JA)

 

 

活撃刀剣乱舞は30分の映画だった

活撃刀剣乱舞は30分の映画だった。

言ってしまえばその一言なのだ。

何よりタイトルカットまでの展開がアクション映画のそれである。プレゼンツが横並びの英字で映り込みながら、その背景で何者かをおいかけている疾走感。反撃で一度失速し、失速を打破しての再度の疾走。ひとまず解決し、次の展開が示されたところで重厚かつシックなタイトルカット。

その上アニメーション映画として遜色のない映像美。カメラワーク。ライトの使い方。演出。さすがはFateシリーズのあの美しくも壮麗な魔術描写を手がけている神様仏様ufotable様ですと五体投地したくなるような剣戟の、召喚術のエフェクト。まるで隙がない。

といっても素人が見て言っていることなので話半分に読んでください。だからそもそも隙も何もないんだけど、とにかくすごかった。

まず何より世界観の説明手法が好きだった。和泉守兼定と堀川国広の会話の中でそれぞれの立場と世界が明かされていく。

冒頭の追撃シーンでは和泉守のほうが堀川よりも先輩である関係性がその行動の差から伝わり、続いて恐らくはまだ顕現して間もない堀川に、和泉守が刀剣男士としてのやり方を教えていくようすが描かれる。

それはあまり言語ではやりとりされず、(特に火事のところなんかは)和泉守が繰り返し告げるのは、自分たちは考えず、役割だけを果たせばいいということばである。たしか、初めの追撃のときと、水田近くを荷馬車で移動してるときと、火事のときの三回かな?

刀剣男士たちが数の上で劣勢であるという戦況も、戦場では少ない側の方が一人一人のパフォーマンスを求められるので、彼らの剣戟を画面の中でより華やかに激しく見せるにあたってすごく生きていると思う。

それから、演出に関しては刀剣男士や時間遡行軍が降りてくるエフェクトが雷なのがすごくかっこよかった。刀剣男士は特に、雷で降りた刀が突き立って、桜の花びらが舞って顕現するという流れが本当に美しかった。ノーモーションで攻撃を仕掛ける薬研と蜻蛉切かっこよかったよね……。まず銃口から姿を見せてくる陸奥守にも参りました。かっこいいにもほどがある。

遡行軍を倒したときに赤い光が漏れ出すのもかっこいいんだけど、堀川の背後の敵を和泉守が貫いたときに、刀身に血がついてたのもそれはそれであるんだって思った。その前に敵を倒しきった堀川がぐわって汗をかいてたのも、ジブリ的な生きて動いてる人の演出っぽくてよかった。堀川は視聴者の視線に近いキャラクターとして置かれてるからなのかな。和泉守は今回堀川と比べると視聴者から遠めで、人っぽくなかった気がする。遡行軍に峰で殴られたときはちょっとそうだったかも。

始めに城の屋根に遡行軍を見つけるシーンがまた良い。「夜ってこんなに静かだったっけ」っていう堀川の人のかたちになったからそう思っているのか、それとも異様なほど静かな夜なのか曖昧な台詞も素敵だし、そのあとにキュッと兼さんの視線の先がクローズアップされて、距離のあるままに望遠鏡の先の光景のように描写されるので、音声が入らないんですよね。そういう演出がまた最高…… 好きです…… 

和泉守が火事の冒頭で人でなしっぽく描かれながらも、女の子を救うところでリカバリーされるのもいいよね。

キャラクターとして明確に現れる審神者も、どんな感じなのかなと思ったら、刀剣男士をさん付けで呼ぶところに加えて、「さすがは皆さんです」のニュアンスにより、私の中では一瞬でAPHの日本さん的性格にカテゴライズされてしまった。今後どんなキャラクター性なのか明かされていくのが楽しみ。

薬研の名が名乗られず、呼ばれなかったのがちょっと気になってます。来週わかるのかな? 説明しきらないままに話が進んでいくのも、どっしり腰を据えて作りましたって感じがあってとてもお気に入りです……(勝手に)最初の埋蔵金(?)とかもそれ。あれはマクガフィン(話の展開上中身の詳細が何かは特に問題ではないけれども単に重要な物品)だったのか、それとも何かの伏線になっていくんでしょうか。

エンディングが歌入り映像入りから、インストゥルメンタルにキャストクレジットになったのも映画感を増していたと思います。書籍や巻物が侵食されていくのがまた歴史を損なわれていく描写としてロマンだった。

あと、予告がゲーム画面パロディなの、コメディのようですごく嬉しい演出だった。

30分ずっと、目にしている情報の密度に満足したままだったのが、すごく幸せでした。

噂ではまず、3話までぎっちりこのクオリティが続くということなので、とっても楽しみです。

まだ少し先の『正解するカド』最終回へ向けて

正解するカド 最終回 絶対正解してほしい

(以下の文章には正解するカド11話までのネタバレを含みます)

正解するカド、原案が野崎まどということで見始めたアニメです。

序盤、正体不明の謎の物体vs.日本政府! 海外からの圧力! 有能な役人! シン・ゴジラが良かったからこういう作品が今後増えるのかなあ嬉しいなあ! とか

交渉官?! 華竜の宮を呼べ! オープニング最高じゃない? 華竜の宮アニメ化するときもこんな感じでやってほしい…… カド死ぬほど楽しいな……みたいな感じで政府と異方、真道とヤハクィザシュニナ、沙羅花と真道の行く末をとてもわくわく見ていました。

お祭り回とか沙羅花のテンプレ色強いキャラクターにちょっと、ん? ってなりながらもとても楽しんでいたんですが、その引っかかりが明確に表れてきたのが10-11話です。

それまでに関しては、沙羅花の実家訪問は彼女なりの真道への「交渉」として成果を出していたり、実は沙羅花は異方存在だったというのも9話の真道がザシュニナに消されそうになる展開へのカウンターパンチとして最高にアツかったり、10話の冒頭の地球の歴史シーンとかもう大正解だったりしていると思っているんですが、その大正解からの10-11話の沙羅花と真道の恋愛展開には大正解と掲げた札をサッと机の下に引っ込めるしか、ない。カドには正解されたい! されたいんですけど! この展開は何なのだ!

SF的世界観において、人類存亡レベルの話をしているときに前触れなく主要キャラクターの恋愛展開が挟まるとキレてしまうんですが私の心が狭いのかな?

沙羅花は人類を保護したい異方存在で、
真道は悩みながらも人類の尊厳を語るにあたり考えの近い沙羅花に引き寄せられてて、
ザシュニナは人類を自分の求める正解に引き寄せたくて真道にはその第一人者になってほしいと希求している

……というそういう関係にあると思っているんですが、ここでザシュニナが真道に執着するのはまあわからんでもないけど、沙羅花はもっとニュートラルに人類に接してほしかった…….。あるいはザシュニナがもっとニュートラルで良かったのかもしれない。

双方共が人類以前に真道に執着してしまうと、一気に世界が狭くなってしまう気がするんですよね。

読まなくていいコメント(まあ11話Bパート早々のあの目のハイライトがない真道くんがたくさん倒れてるシーンはドラマ版ハンニバル的ヤバさがザシュニナから漂ってて好きです。それと複製真道くんも真道くんなんだって工場で真道くんが言ったシーンで、それが真実なら桟橋でザシュニナに声をかけた複製真道くんはほんとに切ない存在なんだなって思えてきて好き……)

ただ、SFでメインテーマが人類全体の話になる作品って、世界観とエモさのバランスが難しいと思います。カドはほんと前半のバランス感覚が好ましかったので、後半になってエモさが前面に出てきていてひやひやする。

 

nizista.com

SFだけだと男性ファンになってしまいますが、男女の恋愛や男性キャラクター同士の掛け合い的な要素も入ってくるので、女性にも楽しんで見てもらえると思っています。実写のドラマのように見やすいのではないかと。

そんな中でこの記事を読んで、ドラマの世界だけじゃなくてアニメの世界でも、男性ファンはジャンル・ストーリーでつかめ! 女性ファンはキャラ・ラブ展開でつかめ! みたいな振り分けされてるんかーい! ってキレてしまったけど、実写ドラマ層からの流入をはかっている文脈でのコメントとしては正当なのかもしれないのかな……?(正当じゃない気がするけど……)(ていうかそもそもそういう流入を図るためになにか方策をとってるんです……?)

私はいち女性ファンですけど、突然ぶち込まれるテンプレキャラや、男女の恋愛展開や、男性キャラクターの絡みが好きなんじゃなくて、ジャンルやストーリーの作法に則った上でそういうテンプレート的なものが輝く作品が見たいです! そういうのが好き!

テンプレに落とし込まれていても理由付けや伏線があって魅力的なキャラであることもあるので、そっちを強化してくれたらいいのになと思います。うーん……

まだ11話までしか見られていない地方民なので、最終回で絶対今よりもっと面白くなってほしい気持ちを捨てずにいます…… 11話後の次回予告で、主人公と悪役が衝突してヒロインが悲鳴をあげるテンプレートに気を失いそうになったんですが、最終回絶対面白いといいな…… 頼む……

メイキング:Microsoft Word 2010で小説同人誌の表紙を作る(PDF出力)

#字書きによる表紙作成ワンドロ ではPhotoshop Elements 6.0で作成したのですが、そもそもが表紙作成のハードルを下げよう! という趣旨の企画であるということで、Microsoft Word 2010ではどこまでできるのか、試してみました。

ちなみにエレメンツのほうのメイキングはこちら。画像の作業を始める前の英題案出しや、写真素材の選び方についてのブレインストーミングもリンク先の記事の前半にあります。

wtrdr.hatenablog.com

まずは結果をご覧ください。

f:id:wtrdr:20170327214059j:plain

エレメンツ以外の有料部分であったロゴの円形素材と、タイトルの和文フォントは代用しています。

影の付きかたが違うのと、英字のぼかしが足りないのが差異かなと思います。

 

◎以下、Wordによるメイキングです。

 

Wordを開きます。

 

f:id:wtrdr:20170326234222j:plain


(1)用紙設定
断ち切りが3mm、背表紙が4mmの文庫サイズの表紙データを作るので、
幅220mm=3+105+4+105+3
(断ち切り+表紙+背表紙+裏表紙+断ち切り)
高さ154mm=3+148+3
(断ち切り+高さ+断ち切り)
の220mm×154mmの用紙設定にします。

f:id:wtrdr:20170326234256j:plain


(2)トンボ設定
続いて余白の上下左右を3mmの位置に設定します。このトンボ外は断ち落とされます。

f:id:wtrdr:20170326234311j:plain

f:id:wtrdr:20170326234320j:plain


(3)背表紙
挿入タブから図形の四角を作ります。

f:id:wtrdr:20170326234329j:plain


背表紙の色で塗りつぶし、枠線を線なしにします。図形ツールのサイズで背幅+1mm程度の幅、高さ154mmに設定し、配置を「左右中央揃え」「上下中央揃え」にします。

f:id:wtrdr:20170326234341j:plain


(3)写真素材
挿入タブから図を挿入します。写真素材は Unsplash | Free High-Resolution Photos さんから!

f:id:wtrdr:20170326234352j:plain


図ツールの書式から位置を左上に設定します。続いて、その他のレイアウトオプションから位置の基準を余白ではなくページに設定します。

f:id:wtrdr:20170326234409j:plain


トリミングで表1に収まるサイズに調整します。

f:id:wtrdr:20170326234421j:plain

図を背面へ移動します。

f:id:wtrdr:20170326234429j:plain


(5)写真の色味調整
図形でオレンジ色の四角を作ります。

f:id:wtrdr:20170326234444j:plain


図形の塗りつぶしからその他の色の設定をクリックし、透過性の数値を調整します。

f:id:wtrdr:20170326234605j:plain


今回は最終的に90%位にしました。

f:id:wtrdr:20170326234546j:plain


比較

f:id:wtrdr:20170326234621j:plain

f:id:wtrdr:20170326234627j:plain


(6)英字
挿入タブからテキストボックスを作ります。

f:id:wtrdr:20170326234641j:plain


描画ツール内で枠線と塗りつぶしを消し、文字列の方向を縦書きにします。

f:id:wtrdr:20170326234651j:plain


フォントサイズや行間、文字色を設定します。

f:id:wtrdr:20170326234703j:plain


ホームタブからフォントを開き、左下にある文字の効果を開きます。

f:id:wtrdr:20170326234713j:plain


文字の塗りつぶしで透過性を設定します。今回は60%程度。

f:id:wtrdr:20170326234727j:plain


文字が半透明になりました。

f:id:wtrdr:20170326234737j:plain


(7)タイトル
先ほどと同様テキストボックスを作り、背景の塗りつぶしと枠線を消し、文字サイズや色を調整して配置します。

f:id:wtrdr:20170326234748j:plain


ホームタブで影→外側→中央を選択し、文字に影を付けます。

f:id:wtrdr:20170326234800j:plain


影有り無しの比較。(「き」だけ影を外してみました)

f:id:wtrdr:20170326234813j:plain


(8)ロゴ・著者名・文庫名
タイトル同様にテキストボックスで作り、影を付けます。

f:id:wtrdr:20170326234824j:plain


(9)円形ロゴ
挿入タブから図形で円を作ります。

f:id:wtrdr:20170326234835j:plain


塗りつぶしを消し、枠線を白にします。

f:id:wtrdr:20170326234918j:plain


ロゴ内の文字が収まるサイズに調整。

f:id:wtrdr:20170326234847j:plain


コピペで円を増やします。

f:id:wtrdr:20170326234941j:plain


こちらは実線ではなく破線に設定します。

f:id:wtrdr:20170326234956j:plain


右上のサイズで数値をいじり、少し大きめに設定します。

f:id:wtrdr:20170326235005j:plain


完成した二重の縁でロゴ内の文字を囲みます。

f:id:wtrdr:20170326235013j:plain


(10)アクセント文字
タイトルのアクセント文字を暗い色で作ります。これもテキストボックス。

f:id:wtrdr:20170326235022j:plain


ホームタブの光彩から、その他の色の光彩で白を選択します。

f:id:wtrdr:20170326235032j:plain


さらに、光彩のオプションで透過性を調整します。

f:id:wtrdr:20170326235044j:plain


ぼんやりとした白い光彩付きの文字ができました。緑の丸を操作して傾きをつけます。

f:id:wtrdr:20170326235102j:plain


「が」と「く」も同じ要領で作ります。

f:id:wtrdr:20170326235114j:plain


(11)背表紙の文字
縦書きのテキストボックスでタイトル・著者名・文庫名を入れます。

f:id:wtrdr:20170326235129j:plain


(12)表4のパーツ
バーコード・ISBNと価格・あらすじ・文庫名をテキストボックスで入れます。
バーコードはC39HrP48DhTtというフリーフォントです。

f:id:wtrdr:20170326235140j:plain


あらすじと文庫名のあいだに挿入タブから図形の直線を入れます。二重線で破線を選択。

f:id:wtrdr:20170326235154j:plain


(13)PDF作成
名前を付けて保存でPDFを選択し、保存。

f:id:wtrdr:20170326235205j:plain


PDFデータができました!

f:id:wtrdr:20170327001523j:plain


完成です! やったー!

f:id:wtrdr:20170327001431j:plain

最後までご覧いただきありがとうございました。

※ちなみに、ジャンル/学生アリスというのは著・有栖川有栖の青春ミステリ小説で、現在『月光ゲーム』『孤島パズル』『双頭の悪魔』『女王国の城』の四作が出版されています。『月光ゲーム』と『孤島パズル』はコミカライズもされています!
月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)

月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)

 

 

とても丁寧な筆致で描かれた青春もので、あっと驚く結末が待っているミステリなので、こんな場で言うのもあれですが、ぜひ! 何卒! お読みいただければと思います。

原作小説もコミカライズも、Kindleでも読めます。どうぞよろしくお願いしますー!
 

ご質問・ご意見などありましたらツイッターアカウントに直接か、固定ツイートのお題箱からお知らせください。

今回のワンドロに関するツイートのツリーはこちらから繋がっています。

ご参考までに。

メイキング:字書きによる表紙作成ワンドロ

ツイッターでこちらのツイートに反応をもらえて嬉しかったのでメイキングを作りました。

箇条書き風味です。

 

(1)下準備

8時頃に企画について知る。

まず、9時のスタートまでどんな雰囲気の表紙にするか考えました。

タイトル「もう一度貴方の声が聞きたくて」が575だったのでもし77をつけるとしたら……と考えて、「鏡の中をじっと見つめる」はどうかなと思う(鏡越しに目が合う距離感が好きなので)。

背景素材として鏡の写真を使うことに決める。

副題として英題をつけたい派なので、英題を考える。

once againはどうかなと考えつつ、意訳が好きなのでforget me notを思いつく。

でも文意的に忘れない対象としてはmeではなくyouなのでその方向で英文を探る。

これをキーに検索しているうち、never forget youに行きつく。

「貴方をけして忘れない」……いい感じ!

単語が少ないので、大きめに入れて写真に敷くことに決める。

「もう一度貴方の声が聞きたくて」と「貴方をけして忘れない」の間を繋ぐ要素として、別離の際、相手に忘れてって言われたのかなと考える。あらすじに入れておくことにする。

お題のタイトルが長めの日本語なので、アクセントを付けられないか考える。

 もう一度、

 貴方の声が

 聞きたくて

「もう一度、」と読点を付けて5文字×3行にしようかな、とか、ふだん自分が創作するときに「貴方」と漢字で書くことが少ないので、

 もういちど

 あなたの声が

 ききたくて

のように「声」をアクセントにできないか考えつつ、タイトルの改変は企画の趣旨的にアウトかなと捨て案にする。

長めのタイトルだし575なので、折句的になにか拾えないか考える。

「もう一度」から拾いやすいのが「も」か「う」、「貴方の声が」からは「の」と「が」、「聞きたくて」からは「きたくて」と考えているうちに、「も」「が」「く」が拾えたので、文字配置を組むなかでアクセントにできそうだったら使うことにする。

もう一度貴方の声が聞きたくてもがくタイプのキャラが好きです!

と、ここまでで9時!

 

(2)素材集め

・背景素材(写真)

1月に出した本の表紙写真でもお世話になったフリーの写真サイト

unsplash.com

でmirrorと検索し、良さげな写真を探す。

検索してみると車のサイドミラーの写真が多くてびびる。待ち合わせしてたキャラが車のサイドミラーに映り込む感じもまたロマン……と気に入ったものを一枚選ぶ。

 

・ロゴ素材

唯一課金した素材集から円型枠素材を使用。

かわいい北欧のデザイン素材集 スカンジナビアデザインブック

かわいい北欧のデザイン素材集 スカンジナビアデザインブック

 

 

・フォント

今回使ったものは既にインストールしてあったものですが、一応。

タイトル和文:IWAオールド明朝Plus(有料)

文庫名和文:はんなり明朝(フリーフォント)

サブタイトル英字:Copperplate Gothic Light(MS Office)

著者名英字:Arabic Typesetting(Windows)

ロゴ内英字:Kunstler Script(フリーフォント)

 

(3)制作

使用ソフトはPhotoshop Elements 6.0です。

105mm×148mmの文庫サイズで製作開始。まずは写真をよさげな位置で貼りつける。f:id:wtrdr:20170325171156j:plain

続いて英字を敷く。若干トゲトゲしていて好きなのでCopperplate Gothic Lightを使用。何らかの筆記体のフォントにしようかと悩みつつ、3単語だし、と読みやすさを優先してゴシック体フォントに決める。

単語数が少ないので、敷き詰め感を出すなら縦かなと縦に。

サブタイトルなので可読性は低くてもOKだと思っている。

f:id:wtrdr:20170325171228j:plainf:id:wtrdr:20170325171254j:plain

次にロゴ・著者名・○○文庫を入れる。(これはすみません、これまでに出した本のデータから拾ってきました)

f:id:wtrdr:20170325171335j:plain

続いてメインタイトルをのせる。IWA明朝オールドPlus、はんなり明朝、FGぽて明を載せてみて一番目がしっくりきたのでこれで。

f:id:wtrdr:20170325171346j:plainf:id:wtrdr:20170325171351j:plainf:id:wtrdr:20170325171354j:plain

敷いた英字の主張が激しいので40%くらいに透過する。

f:id:wtrdr:20170325171423j:plainf:id:wtrdr:20170325171428j:plain

タイトルの文字がなんとなく詰まっている感じがするのでスペースを入れて調整する。

(エレメンツはテキストの両端揃え(頭末揃え?)ができないのでスペースが大活躍!)

ついでに英字やロゴの位置とタイトルの位置関係を気にする。タイトル1文字目の中心とロゴの中心を揃えたり、3文字目の中心と英字の2行目の中心を揃えたり、左右の余白を均等にしたりする。f:id:wtrdr:20170325171455j:plain

タイトル・ロゴ・著者名・文庫名に薄く影を付けて背景に埋もれないようにする。

f:id:wtrdr:20170325171527j:plainf:id:wtrdr:20170325171531j:plain

「もがく」を別レイヤーに取り出し文字色を変える。

f:id:wtrdr:20170325171544j:plain

「もがく」に角度を付けたあと、輪郭と光彩で白っぽいふわっとした枠をつけ、背景に埋もれないようにする。

f:id:wtrdr:20170325171553j:plainf:id:wtrdr:20170325171557j:plain

英字が背景から浮いているので、ぼかし(ガウス)でぼかす

f:id:wtrdr:20170325171608j:plainf:id:wtrdr:20170325171612j:plain

透過10%の塗りつぶし色レイヤーを写真の上に置き、写真の色味を調整。セピア寄りにする。

f:id:wtrdr:20170325171624j:plainf:id:wtrdr:20170325171630j:plain

完成!

おまけ:レイヤーはこんな感じでした。

f:id:wtrdr:20170325171643j:plain

おまけ2:ふだんは祝祭文庫だけどワンドロなので名前を変えたいと思い、語感が似ていることだけを理由に潮騒文庫に。改めて見ると新潮文庫リスペクトにみえる(意図してませんでした)。

新潮文庫の表紙だとこのへんが好きです(積読含む)。

女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN (新潮文庫)

女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN (新潮文庫)

 

 

 

怪人二十面相: 私立探偵 明智小五郎 (新潮文庫nex)

怪人二十面相: 私立探偵 明智小五郎 (新潮文庫nex)

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

ご質問・ご意見などありましたらツイッターアカウントに直接か、固定ツイートのお題箱からお知らせください。

 

3/26追記

同じようなものがWordでもできないかチャレンジしてみたら結構できました。

Wordすごい!

祝!貴族探偵ドラマ化

耶作品がドラマ化されたら、世界は一変するかもしれない。

というよくわからない謎の期待を胸に抱きつつ、春の月9を待っている。

 

f:id:wtrdr:20170225013820j:plain

んなポエムはひとまずとして、2017年の2月に、4月からの月9ドラマ『貴族探偵』の放送が発表された。原作は麻耶雄嵩著『貴族探偵』『貴族探偵対女探偵』。

貴族探偵 (集英社文庫)

貴族探偵 (集英社文庫)

 
貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

貴族探偵対女探偵 (集英社文庫)

 

それぞれ集英社より出版された連作短編集である。

(ドラマ『貴族探偵』公式サイトはこちら 貴族探偵 | オフィシャルページ - フジテレビ )

自らを「貴族」で「探偵」と名乗る青年が、自ら謎を「解かない」。そんな驚愕のミステリ小説を原作としているこのドラマは、月9の30周年記念枠で製作が現在進んでいる。奇しくも原作者・麻耶雄嵩氏の作品がカテゴライズされる「新本格」というミステリのジャンルも、今年で30周年を迎えており、もはや運命なのではないかと思う。

(新本格30周年公式サイトはこちら

www.mystery30th.com )

演は嵐の相葉君。嵐の! 相葉君! これだけでもう、膨大な人数に及ぶ相葉君ファンがドラマを見てくれるという期待に心臓がキュッとなっているいち麻耶ファンである。

相葉君が演じるのは主人公「貴族探偵」。先述した自ら謎を解かないという不思議なキャラクターだ。彼は使用人を手足とみなし、謎も使用人たちに解かせる。自らの手足でありかつ所有物である使用人たちの解いた謎は、すなわち「貴族探偵」たる自分が解いた謎。そんな理屈を語る男を相葉君がどう演じるのか、めちゃめちゃ期待している。

 

囲を固めるキャストもあまりにも豪華だ。「貴族探偵」の使用人枠として、孤独のグルメのゴローちゃんこと松重豊半沢直樹で精神を病んだりカラマーゾフの兄弟でキレッキレの取り調べをしたりしていた滝藤賢一TRICKの山田こと仲間由紀恵すべてがFになる西之園萌絵嬢こと武井咲(出演作セレクトはいずれも趣味)、エトセトラエトセトラ……「ハイ、優勝ーーーーー!!!!!」と勝訴半紙ならぬ優勝半紙を掲げたくなるような豪華キャスト……!!! 神様仏様鈴木太郎様ありがとうと五体投地したくなってくる(※鈴木太郎とは麻耶雄嵩著『神様ゲーム』に登場する小学生の姿をした神様の名前である)。

神様ゲーム (講談社文庫)

神様ゲーム (講談社文庫)

 

 しかすると、『貴族探偵』と聞いて『富豪刑事』を思い出す方もあったかもしれない。しかし深キョンでさえ自ら捜査し推理していた。貴族探偵は事件の捜査も推理も使用人にやらせ、自らは事件関係者の美女を口説いているようなキャラクターである。それに敵対するのが新米女探偵の高徳愛香。原作にほぼ準拠したといえるドラマのあらすじの中で、唯一大きく変更されていたのがこの高徳愛香の師匠である探偵の性別である(原作では男性だが、ドラマでは女探偵に変更。井川遥が演じる)。女探偵同士の師弟関係がどう描かれるのかも楽しみだ。

 

こで冒頭のよくわからないポエムに立ち戻る。

“麻耶作品がドラマ化されたら、世界は一変するかもしれない。”

一体どんなざれ言かと思われるだろうが、麻耶雄嵩の書くミステリはとにかく異質なのである。今回ドラマ化が決まった『貴族探偵』にしても、「探偵」と名乗りながら当の本人は推理の「す」さえもしない。発売時の著者インタビューにて、こんな興味深いやりとりもある。

インタビュアー 最後に、無理なお願いになりますが、ノベルスの著者のことばが、読者にたいへん好評を博しています。本作はノベルスではありませんが、ここで『貴族探偵』にも著者のことばをいただけませんでしょうか?
麻耶 わかりました。(少し考えてから)――「これぞ名探偵」

貴族探偵|集英社 WEB文芸 RENZABURO レンザブロー

ドラマ化決定の報を報じた2月10日発刊の各スポーツ紙でも、

「探偵相葉は推理をしない(スポーツニッポン)」

「貴族相葉は推理しない探偵(中日スポーツ)」

「捜査や推理はせず、実務は召使い任せ(日刊スポーツ)」

「推理せず解決(スポーツ報知)」

などの見出しが躍っていた。

(スポーツニッポンは原作文庫版の題字に見出しを似せてきていて最高)

f:id:wtrdr:20170225012029j:plain

耶雄嵩は『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューして以来、探偵の役割について実験を繰り返してきた作家だ。デビュー作の副題からして、一作目にして「メルカトル鮎最後の事件」である。(※メルカトル鮎とは麻耶雄嵩作品にたびたび登場する銘探偵。名探偵ではなく「銘」探偵である)

また、デビュー作の『翼ある闇』は近年講談社ノベルス講談社文庫から復刊されたが、二作目にあたる『夏と冬の奏鳴曲』に始まる三作の長編、『翼ある闇』に登場する名探偵・木更津悠也(こちらは「名」探偵)の活躍を描く連作短編集『名探偵 木更津悠也』等、絶版になっている作品もある作家である。今回月9ドラマの原作者として今まで以上に名が知られることで、それらの作品にも復刊の機会が訪れるのではないかと期待するファンも多い。(K談社さまでもS英社さまでもいいので復刊を何卒よろしくお願いいたします!!!!!)

夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫)

夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫)

 

 んなわけでなにもまとめられていないが、貴族探偵のドラマ化はとにかくめでたい。原作小説の『貴族探偵』、『貴族探偵対女探偵』を読む人が増えればすなわち麻耶雄嵩作品を読む人が増えるし、あわよくば他の著作も読んでもらえるかもしれないし、さらにあわよくば他の作家のミステリ小説も読んでもらえるかもしれない。ハッピーハッピーです。わーい!

というわけで、貴族探偵を読んで「この作家! 面白いぞ!」となった人におすすめするのは同じく集英社文庫から出ている『メルカトルと美袋のための殺人』という短編集(ただし後書で『翼ある闇』のネタバレがあるので注意)。

メルカトルと美袋のための殺人 (集英社文庫)

メルカトルと美袋のための殺人 (集英社文庫)

 

 麻耶雄嵩先生が探偵だけでなく助手についても色々試しているのがわかるし、その続編である『メルカトルかく語りき』(こっちは講談社文庫)まで読めば、探偵が謎を解くことについてつきつめたとき、その眼前にはどんな異様な世界が待っているかを垣間見ることができる。

メルカトルかく語りき (講談社文庫)

メルカトルかく語りき (講談社文庫)

 

 

度となく言われた言葉だが、ミステリは楽しい。

ドラマ『貴族探偵』が楽しく面白いすてきなドラマとして完成することを心待ちにしている。