活撃刀剣乱舞は30分の映画だった

活撃刀剣乱舞は30分の映画だった。

言ってしまえばその一言なのだ。

何よりタイトルカットまでの展開がアクション映画のそれである。プレゼンツが横並びの英字で映り込みながら、その背景で何者かをおいかけている疾走感。反撃で一度失速し、失速を打破しての再度の疾走。ひとまず解決し、次の展開が示されたところで重厚かつシックなタイトルカット。

その上アニメーション映画として遜色のない映像美。カメラワーク。ライトの使い方。演出。さすがはFateシリーズのあの美しくも壮麗な魔術描写を手がけている神様仏様ufotable様ですと五体投地したくなるような剣戟の、召喚術のエフェクト。まるで隙がない。

といっても素人が見て言っていることなので話半分に読んでください。だからそもそも隙も何もないんだけど、とにかくすごかった。

まず何より世界観の説明手法が好きだった。和泉守兼定と堀川国広の会話の中でそれぞれの立場と世界が明かされていく。

冒頭の追撃シーンでは和泉守のほうが堀川よりも先輩である関係性がその行動の差から伝わり、続いて恐らくはまだ顕現して間もない堀川に、和泉守が刀剣男士としてのやり方を教えていくようすが描かれる。

それはあまり言語ではやりとりされず、(特に火事のところなんかは)和泉守が繰り返し告げるのは、自分たちは考えず、役割だけを果たせばいいということばである。たしか、初めの追撃のときと、水田近くを荷馬車で移動してるときと、火事のときの三回かな?

刀剣男士たちが数の上で劣勢であるという戦況も、戦場では少ない側の方が一人一人のパフォーマンスを求められるので、彼らの剣戟を画面の中でより華やかに激しく見せるにあたってすごく生きていると思う。

それから、演出に関しては刀剣男士や時間遡行軍が降りてくるエフェクトが雷なのがすごくかっこよかった。刀剣男士は特に、雷で降りた刀が突き立って、桜の花びらが舞って顕現するという流れが本当に美しかった。ノーモーションで攻撃を仕掛ける薬研と蜻蛉切かっこよかったよね……。まず銃口から姿を見せてくる陸奥守にも参りました。かっこいいにもほどがある。

遡行軍を倒したときに赤い光が漏れ出すのもかっこいいんだけど、堀川の背後の敵を和泉守が貫いたときに、刀身に血がついてたのもそれはそれであるんだって思った。その前に敵を倒しきった堀川がぐわって汗をかいてたのも、ジブリ的な生きて動いてる人の演出っぽくてよかった。堀川は視聴者の視線に近いキャラクターとして置かれてるからなのかな。和泉守は今回堀川と比べると視聴者から遠めで、人っぽくなかった気がする。遡行軍に峰で殴られたときはちょっとそうだったかも。

始めに城の屋根に遡行軍を見つけるシーンがまた良い。「夜ってこんなに静かだったっけ」っていう堀川の人のかたちになったからそう思っているのか、それとも異様なほど静かな夜なのか曖昧な台詞も素敵だし、そのあとにキュッと兼さんの視線の先がクローズアップされて、距離のあるままに望遠鏡の先の光景のように描写されるので、音声が入らないんですよね。そういう演出がまた最高…… 好きです…… 

和泉守が火事の冒頭で人でなしっぽく描かれながらも、女の子を救うところでリカバリーされるのもいいよね。

キャラクターとして明確に現れる審神者も、どんな感じなのかなと思ったら、刀剣男士をさん付けで呼ぶところに加えて、「さすがは皆さんです」のニュアンスにより、私の中では一瞬でAPHの日本さん的性格にカテゴライズされてしまった。今後どんなキャラクター性なのか明かされていくのが楽しみ。

薬研の名が名乗られず、呼ばれなかったのがちょっと気になってます。来週わかるのかな? 説明しきらないままに話が進んでいくのも、どっしり腰を据えて作りましたって感じがあってとてもお気に入りです……(勝手に)最初の埋蔵金(?)とかもそれ。あれはマクガフィン(話の展開上中身の詳細が何かは特に問題ではないけれども単に重要な物品)だったのか、それとも何かの伏線になっていくんでしょうか。

エンディングが歌入り映像入りから、インストゥルメンタルにキャストクレジットになったのも映画感を増していたと思います。書籍や巻物が侵食されていくのがまた歴史を損なわれていく描写としてロマンだった。

あと、予告がゲーム画面パロディなの、コメディのようですごく嬉しい演出だった。

30分ずっと、目にしている情報の密度に満足したままだったのが、すごく幸せでした。

噂ではまず、3話までぎっちりこのクオリティが続くということなので、とっても楽しみです。